『ダウンスイング信者』っていますよね、昔の指導者に多いですけど。
「ダウンスイングで振れ」「頭と肩の間から最短距離に振り抜け」「上からボールを叩くイメージで鋭く振れ」という言葉で教わった人もいるかもしれません。
でも、それが打てない原因や理由になっているのです。
では、なぜ指導者がこの振り方を強く勧めるのかというと、それは『ゴロを打ちやすい』からです。
少年野球は特にゴロになれば何かが起こる、つまりエラーや送球ミスで出塁する確率が上がるため「ゴロを打て」と指導する人は多いです。
ただ、この方法論が通用するのはよくても少年野球まででしょう。
少年野球でダウンスイングはメリットなし?
中学や高校へ進んでレベルが高くなるほど、ゴロを打てばアウトになる確率が高まります。
ですので、あくまでも少年野球用の戦術であり、その先を考えた時に適切な方法論とは言えません。
画像にもあるように、ダウンスイングだからといって必ずもゴロになるとは限りません。
ボール当たる面によってはフライになることだって十分に考えられます。
ダウンスイングは理想のスイングだと言われていた時期があります。
僕が学生の時もそうでした。
しかし、ダウンスイングって実際に振ってみるとわかるんですけど、振るのめちゃくちゃ難しいです。
実際に上から叩くというのはかなり難しく、まだ体もできあがっていない、力も足りない小学生ではバットの重みに耐えられず、波打ったスイングになってしまうでしょう。
そもそもできないことをやろうとすることで、変なところに力が入ったり、バッティングを崩す原因にもなります。
スイングは「意識はダウン、実際はレベル」が大事
そしてここが大事なことなのですが、「振るイメージとしてはダウンスイングだけれども、実際の軌道はレベルスイング」ということです。
例えばプロ野球選手がホームランを打った時に「いい角度でバットが入った」「45度の角度で入ると自然と飛んでいく」というコメントをしています。
遠く高くに飛んでいく角度で打つために「ダウンスイングで振る」という意識は大事ですが、スイングそのもので45度の角度で振るというのは難しいと言っていいでしょう。
僕の話で言うなら、僕も「ダウンスイングで振るべき」という教えを守り、なんとかバットの軌道をダウン寄りにしようと頑張ってきました。
しかし全くボールに当たらなくなり、27打席連続三振というチーム内記録も作りました(苦笑)
でも、今考えると普通にわかることなのですが、まっすぐ向かってくるボールに対して斜めにバットを振り下ろすとボールとバットの接触面ってすごく小さくなります。
そうするとボールに当たる確率自体が下がります。
最強の三冠王・落合博満は「ボールとの接触面を一致させ、接触時間をできるだけ長くすれば、それだけパワーを伝えることができるので、遠くへ飛ばせる」ということを言っています。
その上で、「遠くへ飛ばせる角度でバットを入れる」という2点がうまくかみ合った時に、より強く高く飛んでいく打球を打つことができるのです。
僕はレベルスイング寄りの軌道にすることを心がけた結果、ヒットも出るようになりましたし、二塁打などの長打も増えてきました。
僕の場合は体が小さく放物線を描くような打球を打つタイプではなかったということと、イチローのようにライナー性の打球を打ちたいということもあってか、このスイングしたらピタッとハマった感じです。
「最短距離で振れ」も間違い?
こういった勘違いは他にもたくさんあって、例えば「最短距離で振れ」というのも理想と現実は異なっています。
日本で最高のバッターであり、ホームラン世界記録を持ち、メジャーリーガーからも尊敬される王貞治氏のバッティングを分析すると、「最短で触れ」とは真逆のスイングだったということがわかっています。
ですので、常に最新の理論や技術に頭をアップデートしないといけなません。
そして、もしそれを怠る指導者に子どもを預けたり、お父さん自身がそういった指導をしていたとしたら?
伸びる可能性があったかもしれないのに、思ったほど成長しなかったり、結果が出ずに辞めてしまうなんてことになるかもしれません。
そうならないためにも親子揃って勉強する機会を作るのも大事ですし、コミュニケーションにもなっていいと思いますよ。
→ 最短距離でバットを出せはウソ?野球世界一の男に学ぶヒットの打ち方